私たちは通常、無駄はよくないこと、避けるべき事であると思っているし、そう教わってきた。効率主義が優勢を占める現代社会にあっては、無駄はよくないことのひとつと考えられている。しかし、ここで深く思考すれば、そのことに疑問が湧く。まず、効率優先するのはなぜか?それは目的達成をして、それによってなんらかの利益なり、満足を得るため。ところが、その目的はしばしば簡単に動く、変わるものである。人の心の変化によって、目的も容易に変わる。すると、その目的達成のために効率よくやっていることが意味を失う。そして、いままで無駄と思っていたものが、今度は役に立つ重要なものになったりする。人の掌には5本の指があり、物を掴んだり、文字を書いたりする日常生活に於いて、親指や人差し指、中指が大切であり、小指はあまり必要と思われず、無駄な指に見える。しかし、誰しもが気付いていることであるが、その小指はまた重要な役割を担うものだ。